リアルでネット右翼と関わってしまった話

自らを右翼、左翼と名乗る人はほぼいない。

右翼を自称するのは、一部の右翼団体と、ネット上の痛い人たちだけである。

左翼に関しても同様で、自ら名乗る人は滅多にいないだろう。

特に、ネット上で右翼を名乗って中韓嫌悪する人々は、自分たちから見て少しでも左寄りの意見をする人々を、勝手に左翼だと決めつけ、憎悪や対立を扇動して茶化しているだけの、間違ってもリアルでは関わりたくない人たちだ。

大体の人たちは中道であるが、実際のところ中道左派といわれる、社会主義政策推進の大きな政府思想が大半。

日本は左派>右派の、実質、社会主義国みたいなものである。

少子化の深刻化、補助金、公共事業・税金のムダ遣い、密室政治、カルト教団との癒着、政治家の利益追求、既得権益維持、情報操作、マスコミの偏向報道売国奴、こんな政府は、自由主義でも、民主主義でもない。

そんな政府を批判するのは、右翼でも左翼でもなく、傾向はあれど中立的な立場であり、各々が「私はこれについてはこう思う」という個人の思想があるだけである。

「僕は右翼だと思います。」

ある日突然彼は発言した。「女性は年上と付き合いがちだよね」という話題について話していた時のこと。「私も14歳上の男性と付き合ったことがある」「日米ハーフでネット右翼みたいな人だったから気持ち悪くて別れたんだけどね」というエピソードに対して彼は「日米ハーフで右翼っていいじゃん」「僕右翼だと思います」と私に言ってきたのだ。

彼は政治経済に全くの無関心で投票にも行く気のない若者だった。その上「愛国心がある」と言うのだ。何をもって自分を右翼と称しているのか。

きっと殆ど無知で適当に言っているんだな、そう思って憲法改正の話題を話してみた。彼は確かに無知で、その無知をバカにされていると思っているのかイライラした調子で「僕は30歳になっても政治になんて関わらないから!」とか何とか騒ぎ始めたのだ。そして私の話全てに屁理屈で反論してきた。一番びっくりしたのが、統一教会というカルト癒着問題について、デマだ、というのだ。どのテレビ局でも報道され、世界でも話題になり、自民党もそれを認め、統一教会2世被害者も素顔で発信していると言うのに。それに加えて私は、Twitter統一教会2世被害者のアカウントを30人ほどフォローし、スペースにも参加して積極的に被害者の声をきいた。彼はその私の行動に対して「キモい」「本当に被害者だと証明できるのか」と言った。

九条改正については、改正賛成派も反対派も、どちらのふりをして話すことは容易である。じわじわと軍事力保持は既に進行していて、今の状況ではもうトロッコ問題のようなものである。どちらかに賭けて遊ぶものではない。ひたすら世界情勢にアンテナをはり、構えることしかできない。台湾有事で日本がこんなにも戦争を身近に感じていると言うのに、九条改正を巡って対立を仰ぐための道具にしているような非社会的な人とは誰もリアルで関わりたくないだろう。

彼は、民主主義のために団体票を薄めるべきという常識的な事にも反対し、その結果、自民党を支持しますと私にわざわざ宣言し、九条改正にも賛成し始めたようだ。

殆ど無知だったのにも関わらず、彼はなぜ右翼を自称したのか。

思い返すと以前、ハッキリと「僕言っておきますけど中国人韓国人だいっっっきらいですからね」と語気を強めて私に言ってきたことがあった。そう、彼は自身の中韓嫌悪を正当化するためだけに、自分を右翼と称していたのだ。当たり前だけどそれだけの理由で右翼を自称するのは大きな間違いである。理由を聞くと本当にしょうもない事だった。中国人でさえ、中国共産党を憎んでいる人がいるというのに。日本の10倍以上の人口を有していて、様々な人々がいるのに。仕事でもオープンソースなどの恩恵を受けているのに。大勢をひとまとめにした属性や民族を嫌悪する発言が、どれだけ社会性がないことなのかを知らないのか。思ってても言ってはいけない事がある事、ヘイトスピーチ解消法というものがあること、何もかも知らないのか。それとも社会で生きることを諦めているのか。ネット右翼の憎悪扇動によってここまで染まってしまったらしい。

彼とは縁を切ったが、今頃、下手したら一生、大きな勘違いをしたまま生きるだろう。

私は元々右翼的な思想で生きてきた。自業自得、自己責任論を唱えて、学歴コンプレックスを解消するために、ひたすらバイトをいくつも掛け持ちして、同時に語学やIT分野を独学し、現在はIT関係の仕事をしている。

発達障害や躁鬱と戦い、鬱に備えて躁の間に100連勤したりして、過労で体を壊し入院したこともあった。

そんな無理する自分を偉いと思っていた。

絶対に社会的扶助は使わないし、誰にも頼らず迷惑かけず生きる、そうやって生きてきた。

負けず嫌いで自己肯定感が低く、学がないため、常に劣等感と不安を感じており、優越感を得るためにひたすら無理をして頑張ってきた。

そんなくだらないモチベで生きている間は、成功もあったが失敗も多かった。

しかも、Twitter上のフェミニストに意見して、約200人以上にブロックされたこともある。被害者ムーヴみたいなのが大嫌いだった。

日本の多様性社会も、当事者を代弁して過剰に騒ぐ者と、当事者の人生を1秒も考えたことのない者同士の言い争いや茶化し合いで、主役の当事者が腫れ物扱いされたり、置き去りにされていることも、そんなくだらないことに人生費やすなら日本なんて戦争してしまえ、戦争したら結束できるんだから、と思ったり。

だけど数年後に、無理をすることは間違っていたと気が付いた。無理をして頑張ることは、この資本主義社会で権力者に搾取されることであると。それを誇りに思うなんて、ただの奴隷ではないか。

それと、自分が出来ることを出来ない相手にも強いることは、無能だとバカにすることは、特権を持つ者がマイノリティに対して暴力的になる構造と同じであるということ。

彼はいわゆる社会不適合者である。私と同じ発達障害を自覚しており、大学の留年も決まっている。計画性がなく、ゲームなど自分の好きなことを優先してしまう。インターンも頻繁に嘘をついて休み、いつも貧乏で、人の勧めから公的扶助である食糧支援を受けてみたり。就職する気がなく、ITで一発逆転を狙って私に教えを乞うような、私におんぶに抱っこ状態で、世間的に見たら甘ったれた人間である。

そんな人間でもワンチャン輝けるのが、ITである。一発逆転は流石に難しいが、優秀から社不まで多様な人々が活躍できる場である。

私は彼の欠点と見えることも、多様性と認めて怒らずに、彼に仕事を教えてきた。

私が無理して頑張る理由は、権力者の奴隷になるためではなく、私と似たような者を守れるようになるために頑張ろう、そういうモチベが私にはある。私に教えを求める、私のその思想の恩恵を受けたいという人がいる。その認識でやってきた。

しかし彼は右翼と自称した。「ここまで来れたのは自分のおかげだ」と言った、まだ何も成し遂げていないのに。その上、恩恵を頂いておきながら、その思想を馬鹿にして否定する。どこまで甘ったれたダメ人間なんだろう。それとも彼は自分が見えてないのかもしれない。自分自身をここまで客観視できてない人を初めて見た。

なにが「合言葉はイージーにしよう」だよ。仕事をなめんな。彼はいつその特大ブーメランに気づくのか、今まで何度もそのブーメランに当たっているのを見た、当たっていても気がついてないようだ。

縁を切ると言った私に嘘の涙の謝罪をした後も、中国ヘイトを扇動するツイートにいいねしたり、派手な言動で煽って票を集める政治家のツイートをいいねしたり、九条改正に賛成するネトウヨと称するアカウントのツイートをリツイートしたりしている。

挙句には、私に左翼のレッテルを貼って私の藁人形を作り出し、私の有象無象呟いていたり、私へ仕返すためにと右翼という思想に属し、その反対派を叩くためだけにネットに転がる社会問題を武器に利用して架空の存在しない私と対立して茶化しているのだ。

IT界隈のアカウントとしても、かなり痛くて見てられなかった。

しかし私ももう我慢の限界だ。目の前で加藤純一の酷い女性蔑視動画を流されたり、男だって辛いんだから女は我慢しろ黙ってろ論で喧嘩を仕掛けられたり、失敗も成功と思い込み、全て自分のおかげ、と甘ったれている自分を客観視できず特大ブーメランで自分を豪語する姿を見るのも、もうウンザリである。

なぜこのような若者が生まれてしまうのか。資本主義の競争社会ではこのような人が生まれやすいのかもしれない。

私と会う少し前に、彼はバイトを実質首になっている。皿を割ったとか何かミスをしたらしく、入って2日間しか働いてないのに店長にガン無視されシフトに入れてもらえず、3ヶ月後に本社に連絡して、その後、数ヶ月かけてその店とバトり、シフトに入れてもらえなかった間の稼げたはずのお金約9万円をゲットしたのだ。

個人店なら大迷惑だが、大手チェーン店で、店長の対応も最悪なので、それぐらいしてもいいと思った。

しかし彼は、多様性を否定して笑った。

その上で、皿を割るほど仕事出来なくて迷惑かけてそれでも契約上働く権利があると主張し、働いてない分のお金を貰ったのだ。何故すぐに対応せず3ヶ月も放置したのか、他の仕事にさっさと切り替えなかったのか、少しでも自分の落ち度があると責めていればこのような結果にはなっていなかったはず。そういう彼の「被害者ムーヴ」は、彼がいわゆる「左側」の思想を馬鹿にするのであれば、許されるものではない。

それなのに彼は未だ、自分は今まで人のせいにした事がない、と豪語している。しかし実際は、自分のせいにもしていないのだ。周りの人でも自分でもなく、遠い誰か民族や集団、性別のせいにしているのだ。

彼は、仕事とは関係ないことで縁が切れるのが悔しいと言ったが、残念ながら彼のような思考回路はIT系エンジニアには向いていない。とことん懐疑的になって膨大な情報を常に集めたり、批判的になって自分の設計やソースコードを見直さなければいけないからである。

エンジニア以前に、人間は反省して成長する生き物である。過剰なポジティヴ思考は、失敗しても反省させず、成長を生まず自己実現が達成できない。自己実現が達成できないと、理想と現実のギャップが深刻化し、自己肯定感が下がり、自信をなくし、自己を保てなくなる。自己を保てない人は「なんかあったら最終的には殺せばいいしw」という思考で生きていくことになる。他に盾となるものを持っていないからである。

暴力的で負けず嫌いな、または勉強や何か好きで打ち込める物がない、誰にも愛されなかった人は、自己を保てなくなると、他者を攻撃することに時間を費やすゾンビと化す。反撃してこれない何か遠い集団や民族を侮辱したり、揶揄ったり茶化したりして、自己を保つだけの屍と化す。そんなことを続けていたら男性ならきっと「無敵な人」となってしまう。憎悪にしがみつくだけの価値のない人生は、自分の命を無駄にするどころか他者にまで危害を加え得る。彼が無価値な憎悪に頼らず、良い人生が送れることを願っている。

そして彼がこのクリティカルヒットな記事を一生発見しないことを願う。